こんにちは、ゆーたすです。
皆さんも、何か「資料を作って」とお願いされることがあると思います。代表的なもので言うと「議事録」や「パワーポイント」といったものがあるのではないでしょうか。
……この資料作り、異様に時間がかかりませんか?
今回は、ドキュメントコミュニケーションとして大切な資料作りのノウハウ第一弾として、資料を作るステップや心構えからお話ししたいと思います。
私自身の体験談——時間はかかる、されど受け入れられず
資料作りに時間がかかると強く実感したのは、新卒でSIer(システムを作る会社)に入社して、議事録を初めて書いたときでした。
逐語録(ただの書き起こし)でも1時間や2時間もかかってしまいます。ましてや、そこから「決定事項」とか「次回までの宿題」を書こうとしたらもっと時間がかかります。さらに、みんなが読みやすいようにと文章を付けたり足したり、順番を整えていたりしたらもっともっと時間がかかり、それでも先輩に見せたらひたすら赤字で修正を受ける。その指摘を受けてさらに直す。
その日のうちに議事録を出せないなんてことはざらでした。
コンサルに転職してから、コンサルの華「パワーポイント」の作成もまた、とても大変でした。
パワーポイントの操作に時間がかかるのもそうですが、まず白紙のパワーポイントを前に立ち尽くしてしまいます。
「一体何をすればいいのか?」
コンサルは、作業時間の短さも華です。ですが、短さを気にする以前に、そもそも完成にたどり着く道筋が分かりませんでした。
コンサルという名前こそ得たものの、中身はド素人でした。
それでも、ひたすら先輩にお叱り・ご指導を受けながら、今ではとりあえずのレベルは何とか作れるようになりました。
以下で、その経験を通じて作り上げた、私なりの資料作りのノウハウをお伝えしたいと思います。
資料作りのボトルネック——なぜ、こんなにも時間がかかってしまうのか?
正解がないために決められない(マインドブロック)
以下2点にも共通するお話です。
資料というものには、「これ以外にはない」という「正解」はありません。
前回もお話ししたように、「ある程度みんなが納得してくれるもの」という「落とし所」はあります。ですが、必ずしも「そうでなくてはいけない」という「指示」のようなものはないのです。
何事も自分で考えて決めなければいけません。
もちろん、初心者のうちはいきなり妥当な落とし所にはたどり着けないので、先輩方の指摘を受けて修正をする必要があります。その力を借りて「いい塩梅」を学んでいくのです。
白紙を目の前にしたときに「どうしたらいいんだろう」となるのはよくわかります。ですが、そこから一歩進むためには、自分なりに書いてみるしかないのです。
書き始めることなくうんうん唸っていても進まない、という現実に、きちんと向き合う必要があります。
誰に・何を伝えたいかがハッキリしていない(方向性・目的があいまい)
資料は、作ってそれで終わりではありません。何かを伝えたり、動きをとってもらったりするために資料を作ります。例えば……
- 議事録:欠席した人に、その会議で何が話されたかを伝える。出席した人に、その会議で決まったことの共通認識を持ってもらい、宿題をこなしてもらう。
- 報告書:ある仕事を頼んでくれた人に、その結果がどうなったかを伝え、次の行動を考えてもらう。
- 提案書:見込み客に、自分たちの商品やサービスを買ってもらう。
などなど、相手や目的は様々です。
……そもそも、これが決められていますか?
相手や目的が決まっていると、「では、そのためにはどのような内容を用意すればいいのか?」「その内容を示すにはどのような証拠(事実)を用意すればいいのか?」と、考えが進んでいきます。
一方で、この相手や目的がぐらついていると、「適当に並べたけれども、まとまりがないな……」「結局、どういうことだ?」と迷宮入りし、やり直しになってしまいます。
議事録は相手・目的ともにほぼ決まっているので、考えることは少ないですが、報告書や提案書などとなってくると、相手も目的も毎回変わってきますので、より頭を使わなくてはいけなくなっていきます。
伝える手段が適切に選べない(ハウツー・ノウハウの不足)
伝える相手と目的・内容が分かったら、次に、それをどのように・何を使って伝えるか、を考える必要があります。
あくまでも相手と目的・内容に合わせるべきであり、必ずしもワードやパワーポイントである必要はありません。場合によっては、エクセルを組み合わせた方がいいこともあるでしょう。
あくまで議論したいだけで、決定を迫るものではないといったような、スピード重視の場合には、手書きの図面等の方がいいこともあるかもしれません。
ここでやっかいなのが、ほとんどの場合手段は考えなくても使えてしまうということです。
つまり、前に述べた「何を誰に伝えたいのか」が決まっていなくてもとりあえず作り始められてしまうということです。
これがよくある、「とりあえず作り始めたけれども、全く進まない」現象の正体です。
資料作りの心構え——まずは何からやればいいのか?
上で述べたそれぞれの原因を潰していくしかありません。とはいっても、一種の型だと思って、練習していけばいつか習得できます。
レビューを通じて作成経験を積む(マインドチェンジ)
順番は前後してしまいますが、何回も作って先輩にダメ出ししてもらいましょう。
何度か、「たたき台を作る→ダメ出しされる→もう一度出す→ダメ出しされる→もう一度出す→OK!」というプロセスを踏んでいくうちに、
- どういうところがポイントなのか
- 何をするとまずいのか
といったことが見えてくると思います。そして、何よりも、
ということが身にしみて分かり、徐々に「正解がない中で自分なりの答えを出していく」姿勢が身についてきて、以下に書いた取り組みもやりやすくなってくると思います。
読み手とその人に期待することを考える(方向性・目的の設定)
どのような人に、何をしてほしいか・どう行動してほしいかを考えます。先ほど挙げた議事録や報告書、提案書といった例も参考にしてみてください。
このとき、読み手に関しては、以下のような相手の思考回路や癖のようなものまで理解しておくと、次のコンテンツ設計や表現方法選択で役に立ちます。
- 読み手はどういう立場の人か? 例)役職が経営寄りならばシンプルに、役職が現場寄りならば細かく
- 読み手はよくどういうところを気にするか? 例)話の流れや論理が通っていること、数字のつじつまが合っていること、文字が多すぎないこと(図表が比較的多いこと)
- 読み手は今回伝える内容に対してどれだけの関心があるか? 例)関心が高ければはじめから豊かに・緻密に書くが、関心が低ければまずは「聞くべき理由」が分かるように説明する
もちろん、初めのうちはどういう人か分からないと思いますから、難しいと思いますが、慣れてきたら伝えられる側の立場も考えてみるとよいと思います。
箇条書きや文章で伝えたいことを書き出し、音読する(コンテンツの設計)
ついついおろそかになりがちですが、大切なことです。
上記の2要素が整理されてくると、なんとなく自分の頭の中で言いたいことが挙がってくるかと思います。
しかし、これをそのまま資料に落とそうとすると、よくちぐはぐなことが起こります。例えば……
- 繰り返し同じことを表現している
- 前後で違うことを述べている
- よく見ると何を言っているか分からないことが書いてある
……自分が書いたとは思いたくないような資料ができあがること請け合いです。私もよくあります。
まずは、自分が伝えたいと思うことをテキスト・箇条書きで書き出してみましょう。これだけでも、書いていく中で「なんだかぼやけているな」「結局俺は何を言いたいんだ?」といった自問自答ができるようになり、内容がシャープになっていきます。
そして、できればそれを音読してみてください。試した人にしか分からないかと思いますが、誤字脱字はもちろん、書き方や日本語が不自然なところや、日本語ではあるが内容がスカスカなものは、読むときにつっかえたり、違和感を抱えたりします。
そこはまさに、あやうくそのまま出したら指摘されるところですから、改めて書き直してみましょう。
先輩や世の中の資料を読み、表現の引き出しを増やす(ハウツー・ノウハウの補完)
普段から努力しなければいけませんが、こればっかりは経験やインプットがものを言います。
上記でかなり内容は整理されてきているかと思います。これをいざ資料に起こそうとすると、またも行き詰まることがあります。
これには2つの場合があって、
- 内容がまだ整っていない
- 表現の仕方が分からない
このどちらかです。
②の場合がやっかいで、①のせいで表現できないのか、②のせいで表現できないのかが判別しにくいのです。
経験を積んでくると、表現もパターン化されてきます。そうして使いこなせるようになった表現は、同時に、きちんと整理されているかのフィルターにもなります。
ここまで来ている人は「表現できないものは整理できていないからだ」と言えるのですが、初心者は必ずしもそうは言えません。
これで悩んでいても仕方がありません。先輩や上司に、現時点でできあがったテキスト原稿をぶつけてみましょう。
- 内容がまだ整っていないなら、先輩から指摘をもらえるでしょう。修正して再挑戦しましょう!
- 表現の仕方が分からないなら、先輩からアドバイスがもらえると思います。
まとめ——何事も設計が大切
資料を作成する前は、ついついパワーポイントとかを触ってしまいそうになりますが……ぐっとこらえて、
- まずは「読み手」と「目的」を設定しましょう。
- それから、「お伝えする具体的な内容」を集めてきましょう。
- そして、集めたら集めっぱなしにせず、「一度テキストに書き起こしてみる」。
- 最後に、「実際に表現してみる」。
この順序を守れば、きっと以前より無駄な作業も減りますし、残業も減ることと思いますよ!
応援しています!